おひとりさまの老後を支える制度と無料相談窓口

最近「おひとりさま」という言葉をよく耳にしますよね。

おひとりさまとは言葉通り独り身の人を指し、一人暮らしで身寄りのない高齢者も「おひとりさま」です。

あなたはひとりでいる時、こんな不安を感じたことはないですか?

認知症の悩みを抱える高齢者のイラスト

「認知症になったら」
「自分の葬儀は誰がするの?」
「誰に相談したらいいの?」


身寄りがいないと、おひとりならではの不安がありますよね。

もし倒れたり、認知症になったりと、あなたに考える力がなくなったとき誰にあなたを任せられるでしょう?

ここではあなたに正しい判断能力がなくなっても、生前から死後の手続きまで行うことができる方法を紹介しています。

万が一の時に備えておけば、あなたがおひとりでも安心して暮らせます(^^


「認知症やアルツハイマー病になったら…」と不安な方におすすめの任意後見制度

「任意後見制度…?」なんだか難しそうな言葉ですよね。

簡単に説明すると、認知症や急な事故や病気で意識を失うなど、あなたの判断能力が低下したとします。

そのときのために、あなたのかわりに財産管理や日常的な手続きなどしてくれる人を、元気なうちにあらかじめ指定しておくことができる制度です。

任意後見人を頼めるのは親族や知人はもちろん、身寄りがない方は行政書士や弁護士、社会福祉士などの専門家に頼むこともできます。(ただし、その分費用がかかります)

委任者と任意後見人との契約

後見人にはあなたに代わって、不動産関連のことや、入院や保険の支払いなど、大きな財産管理もしてもらうことが可能。

一般的にはあなたの判断能力が低くなってきた時点で有力な制度ですが、元気なうちから利用できる「移行型任意後見制度」もあります。

任意後見制度は判断能力が低くなった人を守るために民法で定められた法律なので、公的にもきちんと効力のある制度です。

また、家庭裁判所で選ばれた任意後見監督人がつくという大きなポイントも。

あなたの財産を悪用していないかなど、後見人がきちんと働いているかを監督人が見てくれるのでとても安心できる制度です。

ただし事前に注意しなければならない点がいくつかあります。


任意後見制度には費用と手間がかかるというデメリットも…

任意後見制度は、おひとりさまの高齢者が安心して暮らすことのできる重要な制度ですが、費用と手間がかかるという大きなデメリットがあります。

かかる費用と時間は、役場や社会福祉協議会など国の機関で手続きするか、弁護士などの個人事業に依頼するかによって大きく変わってきます。

手続きを終えた後も、後見人と後見監督人に報酬を払い続けなければならないので大変。

また、あなたが亡くなった時点で契約は切れるため、死後のことまでは補ってもらえません。

そして何より、一般の人にとっては法律や制度ってなかなか難しくて理解しづらく、自分に当てはまるのかどうかを判断できにくいデメリットもあります。


費用をかけずにまず相談だけしてみたい場合は

弁護士などの個人事業に相談をするとそれだけでお金がかかってくるため、まずは住んでいる地域の地域包括支援センターで相談してみるのがおすすめ。

地域包括支援センターは任意後見制度の取り扱いだけでなく、高齢者の総合的な相談窓口となっています。

他にも悩みがあったら一緒に相談にのってもらうことができるのは良いですよね。

今から認知症のことが心配だったり、ご両親の認知症について不安を感じている場合には一度相談してみてはいかがでしょうか。

認知症になったらどうしようと不安に思ってる人は、下記サイトで住んでいる地域の地域包括支援センターが検索できるので、一度足を運んでみてくださいね。

一般社団法人 認知症予防協会

全国の地域包括支援センターを検索することができます。
公式サイトはこちら 


コラム:「認知症とアルツハイマー病は同じ?」

認知症は病名ではなく、記憶力や判断能力が低下してしまい、生活に支障をきたしてしまう状態のことをいいます。

アルツハイマー病は認知症の原因となる病気の1つ。

アルツハイマー病が原因で認知症を引き起こすことを「アルツハイマー型認知症」といい、認知症患者の中で最も多いのが、アルツハイマー型認知症です。

認知症やアルツハイマー病が気になったときは、電話で質問に答えてチェックができるサービスがあります。
あたまの健康チェック


もの忘れ程度なら日常生活自立支援事業のほうがおすすめ

「日常生活自立支援事業」という制度があります。

「任意後見制度」とこの制度はとてもよく似ていて、どちらも判断能力が低くなった人に代わって、財産の管理や日常の手続きなどを支援する制度です。

「じゃあ何が違うの?」と思いますよね。

日常生活自立支援事業は地域の福祉のサービスなので、任意後見制度よりも費用がかからず、比較的気軽にサービスを利用することができるというメリットがあります。

任意後見制度を考えている人でも、まずは日常生活自立支援事業から利用を考えるというケースも少なくありません。

ただし日常生活自立支援事業は、意識不明や重度の認知症などのまったく判断能力がない場合には利用ができません。

利用の際は、あなたにとってどちらの方法が適切なのかを慎重に話しあうため、面談回数が多くなる場合もあります。

少しでも認知症に不安を感じる場合は無料で相談してみましょう
今の時点で「物忘れが増えてきた」と感じる場合や、「保険の手続きがしたいけどやり方がわからない」といった悩みはありますか?

日常生活自立支援事業は、このように日常的な判断が少し不安になってきた人向けのサービスだと考えれば大丈夫です。

相談だけなら無料で対応してもらえますので、気になる場合は一度相談してみてくださいね。

社会福祉法人 全国社会福祉協議会

住んでいる地域の社会福祉協議会が検索できます。
公式サイトはこちら 


ここまでは生前サポートの制度についてご説明しましたが、自分がいなくなった後はどうしよう。ということも悩みますよね。

ここからは死後のサポートについて説明します。

自分が死んだら誰が葬儀をしてくれるんだろう…と不安の人におすすめ!死後事務委任契約

あなたが亡くなった後に様々な手続きや、葬儀を行ってもらうことのできる制度に「死後事務委任契約」があります。

任意後見制度と同じように、親族または行政書士などの専門家と契約することができ、後見制度と同時にむすぶ人が多いです。

死後事務委任契約を一言で分かりやすく言うと、「任意後見制度」+「死後の手続き」ということ。

任意後見制度と死後事務委任契約で死後もサポートが受けられる


任意後見制度はあなたが亡くなった時点で契約が終わってしまいます。

ですが死後事務委任契約を一緒にむすぶことで、死後のこともそのまま同じ後見人に任せることができます。

ただし、託された側は葬儀、電気・ガスの手続きや遺品整理など様々な手続きが必要になるので結構タイヘン。

お通夜や葬儀、お墓の手配など死後の費用は高額なので、必要なお金をあらかじめ託す側に預ける契約になるのが一般的です。

費用を法的に残しておくことであなたの誠意が伝わり、よりよい関係を築くことに繋がるかもしれませんね。

コラム:「延命治療はしなくていい」という時は意思表明を

延命治療をせず、苦痛を取り除きつつ自然に命を終えることを尊厳死といいます。

尊厳死を望む人は、あらかじめ「尊厳死宣言書」を書くことでその希望が守られます。

おひとりさまの場合はこの意思表明がなければ最後まで延命措置を取るというのが医療方針です。

尊厳死宣言書は公証役場や日本尊厳死協会で手続きをすることができるので、問い合わせてみてくださいね。

一般社団法人 日本尊厳死協会

03-3818-6563
公式サイトはこちら 


任意後見制度も死後事務委任契約もすべてまとめて手続きができる!総合的なサポート団体

老後の準備のいろんな手続きが煩わしくて、「まとめて面倒見てもらえる方法はないの?」と思う方も多いのではないでしょうか。

そこで、生前も死後も生活の支援も、すべてを総合して請け負ってくれる団体があります。

地域によっては社会福祉協議会でそのようなサポートをしている場合や、東京に住んでいる人には「あんしん居住制度」というサポートも。

病院の付き添い、身元保証人、死後の葬儀など、団体によってサービス内容は異なりますが、総合的にサポートしてもらえると安心ですよね。

なによりも一か所で手続きが済み、老後の不安をまとめて面倒見てもらえるという安心感を得られることが大きなメリット。

公益社団法人 東京都防災・建築まちづくりセンター

見守り、葬儀、家の片付けをサポートするあんしん居住制度があります。
公式サイトはこちら 

しかし、このようなサービスを利用する際に気をつけなければいけない点もあります。


総合的なサポート団体には悪徳詐欺が多い!契約時に注意すべき2つのこと

これまでさまざまなサポート団体をご紹介してきましたが、気をつけなければいけない点として「国の団体ではない総合サポートの団体には注意が必要」ということ。

(このページでご紹介している団体は全て国のサービスです。)

公的サービスでも民間サービスでも、ほとんどの場合入会時に200万円前後の高額な預託金が必要となります。

そのため預託金を悪用する詐欺が増えてきていることもあり、民間の会社や団体には注意が必要です。

民間のサービスを利用する場合の注意点2つ
注意すべき1つめのポイントは、契約時の預託金の使用明細や契約内容をこまかく確認すること。

不明な金額が上乗せされていないか、話していた内容と実際のサービスは違くないかなど、必ず確認しましょう。

2つめのポイントは、その団体に弁護士事務所や信託会社など、きちんと金銭の管理ができる団体がついているかどうか。

その団体ですべてを管理している場合はあまりおすすめできません。

安心できる民間サービスかどうかを判断するためには、契約内容や預託金の使用明細をもらった上で、弁護士や行政書士などにチェックしてもらいましょう。
また、地域包括支援センターや国民センターでは、あなたが入会を検討している団体の評判や苦情などの情報をもっている場合があるので、まずは預託金を払う前に相談してみることをおすすめします。


なんとなくだけど、老後に不安を抱えているならまず相談を

「認知症になったら」「死んだ後の葬儀は誰がしてくれるのか」などなど、おひとりさまの老後はなにかと不安が多いですよね。

法律では高齢者をまもる制度がいろいろありますが、なかなかそれを理解するのは大変です。

そんな方には、「おじいちゃんおばあちゃん向けの相談窓口、地域包括支援センター」という国の施設があります。

高齢者の総合的な相談窓口で、任意後見制度や日常生活自立支援事業の相談にも無料で乗ってもらうことができます。

「今は不自由がないし、認知症の心配もないけど、なにから老後の準備をしていけばいいかわからない」という方には一度足を運んでみてはいかがでしょうか。

それぞれの地域によって無料で定期的な安否確認を行ったり、何かあった時すぐに救急車につながる携帯ベルの配布など、生活の支援があり、身近な相談相手にもなってもらえます。

地域包括支援センターのイメージ

特におひとりさまはコミュニケーションをとるきっかけや機会が減っていきがち。日ごろから身近に支えてくれる人や話し相手、相談相手がいてくれたら安心ですよね。

下記サイトで住んでいる地域の地域包括支援センターの検索ができるので、老後に不安を抱えている人はぜひ一度高齢者の相談窓口「地域包括支援センター」に相談してみてくださいね。

ここから全国の地域包括支援センターを検索することができます。
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