もしかして認知症?心配なときの無料相談窓口と簡単なチェック方法

「久しぶりに実家に帰って父に会ったら、なんだか気落ちして格好もだらしない。お風呂が大好きで、身だしなみにはこだわっていたのに…。」

「さっき話したばかりなのに、孫の結婚式のことを何度も聞いてくる。」

お父さん、こんな風だったかな?最近忘れっぽいのがひどいような…。

親や配偶者のちょっとした違和感は、もしかしてと不安になりますよね。

今回は、まだ認知症かどうかわからないけど最近心配なことが増えてきた。という時に相談できる窓口と、自宅で診断する方法をご紹介します。

本人も家族も今の暮らしを続けていけるよう、はやめに不安を解消しておきましょう。


あれ?もしかして…最近なんだか様子が違う

認知症の初期症状は、物忘れや怒りっぽくなるというような些細なことから始まります。

違和感を感じることが増えると認知症では?と不安になりますよね。

普段から生活をともにしていると気づきやすいですが、たまに会う程度だとわかりにくい場合もあります。

以下にあてはまることがいくつあるか確認してみましょう。

認知症の初期症状
認知症の症状は、判断力の低下や物忘れがひどくなるといった形で現れます。

特に赤字の項目は、初期症状として代表的なものです。
  • 何度も同じことを言う
  • いつも物を探している
  • お金や物を周りの人に盗まれたと疑う
  • 直前に話した人の名前を忘れる
  • テレビの内容が理解できない
  • 慣れた道で迷い帰れない
  • レジの支払いや家事でミスが増える

また、感情面や性格の変化も特徴です。
  • 怒りっぽくなる
  • 頑固になり気遣いができなくなる
  • 不安感を強く訴える
  • 以前好きだったことに興味がなくなる
  • 服装などに無関心になる
  • ふさぎ込み外出したがらない

物忘れと認知症の違いは?
認知症の初期症状は物忘れと似ていますが、症状の出かたは異なります。

物忘れは出来事の「一部分」を忘れるのに対して、認知症の場合は出来事「そのもの」が抜け落ちてしまいます。

例えば友達と約束した場所が思い出せなくても、「友達と約束した」ことは覚えている場合は物忘れ。

本人に「忘れてしまった」という自覚があり、ヒントがあれば思い出すことができます。

それに対して認知症の場合は、友達と約束したこと自体を忘れてしまいます。

ごはんを食べたのに食べていないと言ったり、同じ話を何度も繰り返すというのは話したことを忘れてしまうからです。

最初は、「あれ?物忘れかな」と思ったことが、だんだんと頻度が増えてきた場合は要注意です。


認知症はいつごろから始まる?65歳以上では約1割

認知症になる最大の原因は加齢です。

厚生労働省の調べでは、65〜69歳までの発症率は1.5%と低いものの、85歳では27%に上がっています。

4人に1人という高い割合は、誰が認知症になってもおかしくないということ。

65歳以上の高齢者が発症する割合は8〜10%となっています。

参考:厚生労働省「みんなのメンタルヘルス」

年齢が上がると誰でも認知症になる可能性があるということを知り、小さなサインを見逃さないことが早期発見につながります。

認知症でも軽度の場合、たまに会う家族であれば気づかないことがあります。

「まだしっかりしているし、よくある物忘れだろう」と思っても、違和感を感じたら日頃の様子をまめに見るようにしましょう。


頼れるところを知っておく。無料で使える相談窓口

家族が認知症になってしまったかもしれないという不安な気持ちは、まず誰かに話すことでホッと落ち着くことができます。

「どこからはじめたら良いのかわからない」という場合は、まずは「地域包括支援センター」に相談してみるのがおすすめです。

地域包括支援センターは高齢者とその家族の支援を目的としており、全国の市町村に配置されています。

認知症の予防に必要な地域とのつながりを提供するカフェやイベントも開催するなど、さまざまな情報が集まっています。

近くの地域包括支援センターを検索する

今はまだ早いと思っても、いざとなったら相談できると知っておくだけでも安心につながります。


早期発見がカギ!MCI(軽度認知障害)なら正常回復も

MCIという言葉を聞いたことはあるでしょうか。

これは、認知症の前段階である「軽度認知障害」の状態です。

軽度認知障害の診断を行うタイミングと移行率

MCIから認知症になる割合は5年で50%ですが、この時点で治療ができれば正常な状態まで回復する確率は14〜44%という高い数字になっています。

認知症かもしれないと病院に診断に来る人は、75%の人が軽度〜中度認知症と診断されています。

認知症は一度発症すると完治は難しいため、治療は進行をできる限り遅らせるということがメインです。

早期発見できればそれだけ生活を変えることなく、その人らしい暮らしを維持することができますし、家族の負担も小さくなります。

そのためには早めの受診が大切で、もしかしてと思ったときは病院に行くのが最も良い方法です。

認知症は早期発見が一番のカギ。

「なんだか気になるな」と感じた時は、早めにチェックを受けて不安を解消しましょう。