相続対策の生前贈与の使い方、専門家に聞きました

相続税が増税となり、対策としてよく聞くのが「生前贈与」ではないでしょうか。

今回は、法人の事業承継と相続対策を行う株式会社アズライト代表紀伊国谷隆(きのくにや たかし)氏に、生前贈与と相続対策について伺いました。

この記事を読む価値があるのはこんな人

  • 「顧問税理士以外にも相続対策について専門家に相談したい。」
  • 「大きな資産があり、生前贈与や資産評価を下げる方法を知っておきたい。」
  • 「流行りの節税対策や最近の資産税について動向を知りたい。」

このように考えている会社オーナーの方はぜひ参考にしてみてください。

少し長くなりますが、ヒントやきっかけ、解決の糸口が掴める内容になっています。

※以下紀伊國谷氏の敬称略


暦年贈与は310万円がカギ

紀伊國谷氏との対談写真

今日は相続対策でよく使われる、生前贈与について詳しくお話を伺いたいと思います。
まず、生前贈与で良く使われる方法というのはありますか?


紀伊國谷:
生前贈与は今非常に流行っています。

計画的にできることと、贈与税率は110万までは非課税なので、200万(計310万円)までは10%でできます。

310万贈与しても、税金は約19万くらいで収まるんですね。

これを毎年子どもの人数分やっていくと結構な節税になります。

ただ毎年申告しないといけないし、税理士さんがついていて全体の財産を管理していないとダメなんですけどね。

暦年贈与を利用するということですね。
暦年贈与のつもりが、結局「トータル○万円の定期贈与」にみなされて税金を取られたという話も聞きますが。


紀伊國谷:
「110万円以内だから非課税」ということもありますが、もらったほうにも「贈与された」という意識がないとダメということもあります。

でもちょっとでも、1,000円でも納税してたら、贈与されたという証拠になるのでこの点は問題ない。

なので310万円贈与するということが多いです。

今の話であれば贈与された子や孫がちゃんと通帳を管理していれば大丈夫です。

まずいのは口座名義だけ子どもになっていて、通帳もハンコもお父さんが持っている場合はアウトですね。

結構そういうケースもありますか?


紀伊國谷:
みたいですね。

ただそのあたりは知れ渡ってる話なので、税理士さんがちゃんと言うはずですけどね。

111万の贈与でもいいけども、310万までだと税率が10%だからお得ということですよね。


紀伊國谷:
そうです。今時消費税も8%するわけですし、所得税(+住民税)も最高55%まで上がってますので、10%で310万もらえるのは大きいと思いますね。


相続時精算課税制度はメリットが少ない

贈与のもう1つの方法には、「相続時精算課税制度」があります。
この制度は使いづらい気がするんですが、使うほうが得なケースはありますか?


相続時精算課税制度


2,500万円まで贈与税の特別控除が受けられ、2,500万円を超えた部分は一律20%の税率で計算する。

ただし、贈与する人が亡くなった場合には贈与した金額を相続財産額に足し戻す。

また、相続時精算課税制度を選んだ場合は、暦年贈与は使えない。

参考:国税庁「相続時精算課税制度のあらまし」


紀伊國谷:
一時流行ったんですけど、多分ダメでしょうね。

ダメというのは、一回使うと暦年贈与の110万が使えなくなってしまいますから。

使うことがあるとしたら、もう後何年も長くないだろうというときにまとめてドンと贈与するくらいでしょうか。

結局相続のときに贈与した額を合わせて精算するということですもんね?


紀伊國谷:
そうです、持戻しといいます。

2,500万までは非課税ですが、2,500万円を超えた分に関しては20%の贈与税を払うということなので、(贈与されたお金を)先に使えるというところにメリットがあるんでしょうけどね。

一般的には、暦年贈与のほうが使われてるということでしょうか?


紀伊國谷:
そのほうがメリットは大きいと思います。

精算課税制度をつかうところは、そんなに財産がないところかも知れないですね。

どう考えても毎年贈与するほうがトータル額は増えるわけですから。


ここまでのまとめ

生前贈与を使うときは、
  • 暦年贈与のほうが、相続時精算課税制度よりも得
  • 暦年贈与は、310万円×子どもの数が最もメリットが大きい


キャッシュを不動産にかえて評価を下げる

紀伊國谷氏との対談写真

相続対策として昔は海外に資産を移したり、タワーマンション節税といった方法を聞きましたが最近はどうでしょうか。


紀伊國谷:
海外はダメですね。厳しくなってます。

タワーマンションは良いと思いますね。制度が変わって若干不利にはなりましたけど、まだ使えます。

タワーマンションとか不動産は、生前贈与するのではなくて評価を下げます。

評価を下げるというと・・・。


紀伊國谷:
例えば1億を不動産にかえるんですね。

タワーマンションなんかは評価がぐっと下がるんです。

買うと一億なんですけど、相続の評価だと3,000万とかに下がるケースがあります。

お父さんが1億でタワーマンションを買い、相続発生したら3,000万。

3,000万に対する税金を払うことによって、相続人はタワーマンションを受けることができるんです。

ただ、その3,000万のタワーマンションをすぐ1億で売ってしまうと、差額に税金がかかる。

明確ではないんですが、判例でそういうこともありました。

それは相続対策で買ったと判断されてということですか?


紀伊國谷:
ええ、ですから何年か置いて売ればいいんでしょうけど、すぐに売ると目立つというところなんでしょうね。

タワーマンションが普通の物件よりも評価が下がるというのは、戸数が多いからでしょうか?


紀伊國谷:
タワーマンションというのは土地が狭いわけですね、土地が高いわけではなく建物を増やすので、それで評価が下がるという理屈です。

タワーマンションに限らず、収益不動産なんかも購入価格の7〜8割減、2,3割の評価で相続できるので有効な手段ですね。

最近はボルテックスというところが区分所有のオフィスとか、ワンフロアの不動産が相続対策になりますということで広告を出してます。

ようするに現金として置いておくよりも、不動産に替えると評価が下がって相続税が下がると。

それは結構お金がある人、相続税が払える人向けの対策ですよね?
タワーマンションで評価が下がって安くなっても、結局は相続税がかかってくる・・・。


紀伊國谷:
そうなります。ただ財産は相続税を払わないともらえないので。

相続対策がしづらいのは、例えば地主さんとか、昔ながらの土地持ちの人ですね。

土地はあってもキャッシュがない。

土地は売ると税金がかかるし、現金に比べて分けにくい。

農協がよくセミナーしてるんですけど、田舎のいろんな土地を都会の高いけど良い物件に替えて家賃収入を取るとか、田舎でも駅前に収益物件を立てるとか。

そうすると土地だと評価が下がらないけど建物は下がります。

評価を下げて、かつキャッシュフローもあるので相続対策になりますよ。というやり方をしています。


最近流行りの海外不動産投資

海外コンドミニアムの写真

タワーマンションや収益不動産のように、最近人気の節税対策というのはありますか?


紀伊國谷:
これは相続ということではないんですが、最近流行っているのがハワイやロサンゼルスに中古マンションを買う方法です。

あのあたりの建物というのは、土地はそう高くなくて、建物が高くなるんです。

50年経っても価値が下がらない。どういうことが起こるかというと、耐用年数が経って減価償却が出来ます。

価値が下がらずうまく行けば上がるというのはメリットです。

税理士さんとか資産税のコンサルが向こうの銀行とタイアップして、銀行の融資付きでやってます。

ただ現状では「海外の建物でも日本の所得と合算できます」としてるんですが、これもダメになったら終わりなので。

まあ日本の所得と合算できなくても、家賃取れて価値が下がらなかったら大きな損はないですよね。

国内でマンションを買った場合はどうなるんですか?


紀伊國谷:
マンションの場合はハワイと同じ理屈が成り立ちます。

ただ海外の場合は価格に占める割合が土地よりも上モノのほうが大きいので、建物の減価償却ができるということです。

日本の場合は建物というより土地です。

土地は減価償却しないので、国内ではそんなに(減価償却)取れないんです。

日本は100年持ってる古民家はありますけど、通常リフォーム費が掛かります。

だけど向こう(海外)だときれいなんです。

日本だと戸建てで値段が上がるってあまりないですよね。でも向こうだと上がる。

目の前に収益物件があるなら海外にいったほうが得。ということでしょうか?


紀伊國谷:
そうですね。

ただやっぱり全額融資をつけるっていうのは口座が大変ですから、お金も持ち出さないといけないし、ある程度資産家じゃないとできないでしょうね。

まあ資産家じゃないと相続税の心配しなくて良いわけですからね。

ここまでのまとめ

相続対策にはキャッシュを不動産にかえることも有効。

購入価格の7〜8割減の評価で相続できる。
  • タワーマンションは今なお節税効果が高い。
  • 収益不動産(区分所有のオフィスやワンフロアの不動産)も有効。
  • 最近の流行りは海外不動産投資。


保険の非課税枠は使わないと損

紀伊國谷氏との対談写真

では、保険代理店を営む紀伊國谷さんおすすめの、生前贈与で保険を活用する方法を教えてください。


紀伊國谷:
保険でウルトラCはないんですけど、よくあるのが310万ずつ贈与して、残りのキャッシュでお父さんに保険に入ってもらうという方法です。

今まで保険は掛けた金額以上に死亡保険金が出るので、「子どもたちがお金をもらっても無駄使いするから保険に変えてるほうがより効率が良いです。」ということだったんですけど…。

今年の4月以降に保険の法律がめちゃくちゃ悪くなってしまって、もう保険じゃない。

どういうことかというと、50歳の男性が15年かけて終身保険に入るとしますよね。

15年間の掛け金のほうが、死亡保険金よりも上がってしまうんですよ。

掛け金のほうが高い・・・それは損ですね!


紀伊國谷:
意味がないなあということで、個人ではこれがいいというのはまだないですね、法律が変わって。

だから一番オーソドックスなのが500万×法定相続人の非課税枠ってありますね。

それはもう絶対やらないと損ですね。

奥さん、子どもが2人いたら500×3=1,500万の非課税枠があります。

それを預金にしたら1,500万全部キャッシュ(に対して相続税がかかる)けど、保険に変えておけば1,500万だけはまるまる取れるんですね。

なるほど!銀行に1,500万預けるんだったらその分保険にしておけば、税金がかからずにお得ということですね。


紀伊國谷:
そうですね。

500万(×法定相続人)という額を確保するだけで良いので、今まで保険に入ってない人で「病気でも入れる保険」というのがありますね。

ガンになっても入れますとか。それを非課税枠に確保するというのは結構ありますね。


二次相続を含んだ対策をするのが基本

家族で家を相続するイメージイラスト

よく相続対策は、二次相続まで考えないといけないと聞きます。
特に注意すべき点はありますか?


紀伊國谷:
二次相続の考え方は簡単で、配偶者控除がない分もろに税金がかかるということです。

二次相続も考えた上で対策をするほうがいい。・・・というか、それが普通です。

よく言うのが、値段が上がりそうな株や不動産は子どもに、キャッシュを配偶者に渡すというもの。

一次相続でもしも奥さんの相続した財産が上がってしまうと、二次相続でまた税金がかかる。

でも子どもの土地が上がっても相続対象にはなりません。

二次相続対策に良い保険というのはありますか?


紀伊國谷:
保険でいうと、「連生終身保険」というものがあります。

夫の次に妻という順に亡くならなくても、どちらかが亡くなったら保険金が出るというもの。

商品としてはあるんですがあまり一般的でないので、使い勝手が悪いんでしょうね。そううまく使えない。

旦那さんや奥さん、どちらが先に亡くなるかというのは健康なうちはわからないですよね。
対策プランを立てる際の基準というのはあるんでしょうか?


紀伊國谷:
そういうのはないですね。

家族構成とか財産によって、全部オーダーメイドですから。

財産を持っている人がみんながみんなちゃんと相続対策したいと思うわけではなく、中には「財産はあるんだから、それを引き継いだ息子がなんとかしたらいい」という人もいます。

相続税というのは亡くなってから10ヶ月以内に申告すればいいので「俺が死んだあとしっかり勉強してなんとかしたらいい」と。

確かに相続税が払えるなら、対策もそれほど必要ないのかもしれませんね。
二次相続を考えると、子どもを飛ばして孫に遺言書で財産を残すというのはどうでしょうか。


紀伊國谷:
そもそも孫は相続人ではないので、(相続ではなく)遺贈というんですが、これは普通の相続人より10%多く割増になります。

そこまでやる価値があるかどうかは何を移すかにもよりますね、どんな財産を移すか。

でもそれだったら最初から贈与したほうが早いです。

遺贈するよりも贈与のほうが税金が安くなる?


紀伊國谷:
そうです。310万の贈与をするほうがいいかもしれませんね。

やっぱり聞かないと分からないものですね。
でもこういうふうに何が良いか悩んでる人はいっぱいいますよね。


紀伊國谷:
たくさんいます。何をしていいか分からないんですね。

これしたら税金半分になるっていうのはなかなかないし、何かしらコストがかかるし、銀行は色々言ってくるけど損するんじゃないか?とか、オーナーにとって信頼できる人がいないというのがありますね。

実際に、いいと思ったことが裏目に出ることもあるんですよ。

株価対策にコストをかけて安くして移したのに、株式評価が業績悪化で下がってしまうと対策コストだけが無駄になるということもあるし。

それは辛いですね・・・。


ここまでのまとめ

保険を使った相続対策は、非課税枠がカギ。

掛け金よりも増えることがなくなった今、非課税枠いっぱいまで保険を利用するのが賢い方法です。

  • 「500万×法定相続人」の非課税枠は利用しないと損。
  • 310万の暦年贈与+非課税枠分の保険に入る。
  • 二次相続を考慮すると、キャッシュは配偶者に、株や不動産は子どもに残すのが得。
  • 孫への遺贈は、生前贈与のほうが得。


絶対にしておくべきキャッシュの準備

紀伊國谷氏との対談写真

これだけは絶対しとかないと大変、ということはありますか?


紀伊國谷:
それはいっぱいありますね。

うち(アズライト)の場合は法人の相続対策が多いんですね。

事業承継するときは男の兄弟の場合、どっちに継がせるかということはちゃんとしておかないと、特に揉めます。

ちゃんとしておくというのは、事業を継がせる=株を長男か次男かどっちに継がせるか決めるということです。

それは遺言書で指定しておくことができます。

なるほど。例えば長男に事業を継がせるとすると、株を長男に渡すことになりますね。


紀伊國谷:
その時に財産が株しかなく、キャッシュがない場合は困ります。

お父さんが株を全部長男に渡してしまうと、次男には相続する権利がある。

これを遺留分と言いますけど、遺留分は法定相続分の半分です。

法定相続割合は兄弟だったら50%なので、その半分ということになります。

一億の株を長男がもらうと、5,000万は次男に請求する権利がある。

すると長男は5,000万をどっかで作らないといけない。

そのためにお父さんに保険に入ってもらったら、亡くなったら会社の株は長男、保険金は次男という風にできます。

やっぱり保険に入ることは基本ですね。


紀伊國谷:
長男は株をもらうと、それに対しても税金かかるんですよ。

家をもらったら税金かかるのと同じ理屈ですね。

ですから株だけじゃなくて税金分くらいは準備しておかないといけないので、結論としては保険にめいっぱい入っておくと、それで相続対策終わるくらい楽なんですけどね。

とにかく相続対策というのはいかにキャッシュを作るかということなんです。

または相続税の評価を下げるというのも大事なんですけど、ただキャッシュがあれば別になんとでもなるので。

そのキャッシュをどうやって準備するのかというのを考えたときにやっぱり保険なんですね。

なるほど。保険以外にはないんでしょうか?


紀伊國谷:
ないです。亡くなってキャッシュ出てくるって保険ですよ。

確かにそうですね。
株に対する税率は他の財産と変わりますか?


紀伊國谷:
キャッシュと同じです。

厳密にいうと亡くなってから半年以内の一番安い価格というのがあるんですけど、そんなに何割も安くなるということはないですね。

株とかキャッシュはほぼ時価で、不動産だと下がることはあります。


プロもしている相続対策

紀伊國屋さんが1オーナーとして、している対策はありますか?


紀伊國谷:
やっぱり保険にいっぱい入ってます(笑)

安心ですよ。キャッシュがあればなんとかなるので。

あとは不動産に変える。今銀座と恵比寿にあるんですけど、今で2.5億から3億くらいするのが7掛けくらいで済んでるので。

紀伊國谷さんが亡くなったらお子さんに?


紀伊國谷:
それは法人で持ってるんです。

なので法人の株を持っている人間に行きますね。今はまだ法人の株は100%私が持っているので、それをどうするかというのはありますが(笑)

ここまでお話を聞いて、やはり保険に入ることの重要性を感じました。

そこで、次は一般家庭には身近な存在である「保険の窓○」のような総合カウンターについて詳しく聞いてみることにしました。


保険の総合カウンターは要比較

専門家に相談しているイメージ写真

保険選びのときに「保険の○口」のような、よくある総合カウンターのようなところに行くのはどうなんでしょう?
一般家庭には割りと身近な存在だと思うんですが。


紀伊國谷:
運でしょうね。ああいったところは手数料の高いものを売ってるんです。

ただそういった部分を指導されたので、今はどうかなというところですね。                                                     
一番良いのは2,3店舗違う系列のところに行って、「あちらではこう言われたんですけど」と持っていくと良いと思います。

運ですか(笑)総合カウンターも比較するほうがいいということですね。
「たくさんの種類の中から選びますよ」としていても、実際に売りたい保険は決まっていると聞いたことがあります。


紀伊國谷:
少し前まではそうでしたね。保険会社はしょっちゅうキャンペーンをしているんですよ。

年どのくらいでランクが上がりますというのがあるので、どうしてもそれを本部は売らせようとする、仕方ないというのはありますよね。

それと、そんなに変わらないというのもあるんですよ。

月2万の掛け金でそう差をつけることもできないし。

う〜ん。確かにそうですね。


医療保険の賢い使い方

医療保険もたくさん種類があって迷ってしまいます。


紀伊國谷:
よく最近は緩和型とか言ってますね。病気でも入れますとか。

あれは辞めておいたほうが良いですね。

保険に入れるというだけで、絶対にその分貯めておくほうがいいと思います。

ガン保険も、医療保険も、60過ぎてから入るというのは絶対損なんです。

それは、保険料が高いからですか?


紀伊國谷:
そうです。だったら貯金してるほうがいいですね。

医療保険は、みなさん普通健康保険入ってるでしょ?だからそんなにダメージはない。

だけどガンだとやっぱり最新治療とか受けたいし、保険のかからない治療もいっぱいあるので。

ガン保険は保険会社によって特徴があるんですけど、かかった治療代は全部出しますというのもあるんですね。

セコムの保険なんかは、セコムが指定した一番良い治療を受けてくれというのがあって、何の気兼ねもなく1,000万かかる治療が受けられます。

でも普通の保険会社のガン保険というのは、いくらかかろうが額が決まってるんです。

だから安い手術代だと儲かるというか余るし、高い手術費だと足りない場合もあるんです。

医療保険は掛け捨てですもんね。
よく特約で最先端治療を付けるというのもありますよね。


紀伊國谷:
誰だって最新の治療は受けたいと思うし、入っておいたほうがいいと思いますね。

特約も付けておいたほうがいいでしょうね。

普通は火災保険なんかでしたら、複数の保険会社に行っても1つしか入れないんです。

ただ医療保険の場合は、5社入ってたら5社分出るので。

へえー!?そうなんですか。


紀伊國谷:
だから一日あたり1万円の入院給付金つけて、ついでに先進医療特約をつけることができるんですけど、1社の上限は2,000万までなんですね。
2社に入ったら2,000万×2出るので。

だから1社で1万の入院給付金付けるんでしたら、5,000円ずつの2社にしたほうが得ですね。

なるほど!保険料もそのほうが安くなりますか?


紀伊國谷:
保険料はあまり変わらないです。先進医療特約が2社分できるということです。

ここまでのまとめ

保険の総合カウンターは、担当者によって運の要素も大きい。

  • 保険のカウンターは2〜3社比較すると安心。
  • 医療保険は60歳を過ぎてからだと損。
  • 医療保険は複数社入るほうが得。


常に変わっていく法律

種類株式&民事信託を活用した戦略的事業承継の実践と手法
↑紀伊國谷さんが読んでいた本

紀伊國谷:
例えば今日なんかも、信託というのが流行りになっているんですね。

種類株式というのは、これも事業承継には非常に有効です。

信託と財団ということなので、これはちょっと通達変えられたらダメなんです。

税理士さんも積極的にはしないんじゃないでしょうか。

事業承継もずっと勉強し続けているんですけど、いろんなことが変わっていくので正解はないんですよね。

その信託というのも最近できた制度なんですか?


紀伊國谷:
昔からあったんですけど、これを利用できないかと考え始めたということですね。

相続税というのは税法で、信託とか自社株は会社法の範疇なんです。

上の省が違うので、会社法ではOKだけど、税法は?ということがいくつもあるんですね。

例えば種類株式というのは平成18年にできた制度なんですけど、今まで社長の持ってる株は1つの株だったのがそれを配当優先株式とか議決優先株式とかに分け始めました。

で、会社法上では配当優先株も議決権優先株式も価格は同じなんですが、税法ではそれはおかしいのではと言われはじめてるんです。

議決権株式と配当優先株式?


紀伊國谷:
ようするに株を持っている意味というのは決定権を持つためですね。

最低51%、できたら3分の2はあるほうがいいわけです。

でも株主になってる人で決定にかかわらなくても配当はたくさんもらえたらいいという人もいて、そしたらいっその事議決権はないけど配当は倍出しましょうというのが配当優先株式です。

拒否権付株式というのもあって、1株あるだけで何でも拒否できるんですね。

拒否はできるけど決定はできない。どういうことを想定してるかと言いますと、相続対策のために息子にどんどん株を移していく。

ただし暴走を止めるためにお父さんはNOと言える株が欲しい、というようなときです。

そんなオールマイティーな株が普通の株と同じ値段でいいのかという議論がまだ残っていて、決まってないんです。

なるほど。結構暫定的なんですね。


紀伊國谷:
だから税法と会社法がまだ再考察されている。

そこに信託が関わってくるとなおさら国税庁と会社法(経済産業省)は勝手にやっとけ、なんかあったら税金取ったるというように言ってるんですけどね。

国税庁とか税法の伝家の宝刀というか、「法の解釈はそうかもしれないけど実態はこうですよ」とやっちゃうので。

さっきいったような不動産評価が8割下がる、今はそれでOKなんですが、おかしいんじゃないかと今後言ってくる可能性もあるんですよね。

おかしいぞ。というのは誰が言うんですか?


紀伊國谷:
国税庁です。タワーマンションなんかもそれで規制がかかりました。が、思ったほどの規制ではなかった。

タワーマンションは土地の持分(もちぶん)が低いので評価が下がるんですよ。

ただその40階の価格と2階の価格が同じだったので差をつけたんですけど、そう多くはつけられないので結局はまあちょっと不利になったけど、まだまだ有効という。

それを前ニュースでやってたんですね。
でもまだ評価額が下がるという意味では使えるということですね。


紀伊國谷:
そうです。騒いでましたけど、タワーマンションの節税がダメになったとか、ダメになったんじゃなくてちょっと不利になったと。

そういう風に法律は変わっていきます。


信頼のおける相談先として

紀伊國谷氏との対談写真

紀伊國谷:
そういう、ちょっとここが変わりますというのを月に1回くらい勉強に行ってるんですけどね。

車の中でもセミナーのDVDを流したり、新幹線での移動中も1、2冊くらい本は読めますからね。

さすが、四六時中勉強されてるんですね。


紀伊國谷:
やっぱり知らないことがあったら信頼に関わる。

例えばよくあるのが「銀行がこんな話持ってきたんやけど」という。知らないとは言えません。

あとは銀行が売らんがために、ちょっと間違ったことを言ってくることも多いんですよね。

そういうときに即座に「違います」と指摘するとやっぱり信頼に繋がるので。

アズライトさんに相談に行くと、保険の活用もそうだし、そういうトレンドも含めて対策を考えていただけるということですよね。


紀伊國谷:
もちろんです。

我々は株とかは触れないので一通りお聞きして、これならこの税理士さんに振ろうかなとか、それで一緒に考えて行きますね。

手前味噌なんですけど、保険を長いことやっていると相手のニーズを聞く能力があるんです。

税理士さんはどちらかと言うと話すことが中心なので。

我々が聞いたことを税理士さんに伝えて、向こうは専門家なので良い対策を立てることができます。

私が不動産を買ったのも、もちろん儲かって良い時もあるんですけど、それもこの事業承継の対策の一つだし、とりあえず自分が対策として目に入れることは自分で納得を、というそんな感じですね。

ありがとうございました。



相続や節税について更に詳しく

今回は、生前贈与や資産評価を下げる方法、保険を活用した相続対策について話を伺いました。

今回のまとめ

生前贈与や保険を使った相続対策についてのポイントは以下の通りです。

  1. 暦年贈与は310万円×子どもの人数分が得
  2. キャッシュを不動産に変えると評価が下がる
  3. 保険の非課税枠(500万×法定相続人)は利用しないと損

相続税対策は「いかにキャッシュを用意するか」が肝となり、保険に入ることは最もシンプルな対策です。

また、資産を不動産にかえて評価を下げ、相続税や贈与税そのものを安くするという方法も有効です。

タワーマンションや海外不動産投資など様々な方法が出ていますが、法律が頻繁に変わるため、相続に詳しい専門家とともに慎重に検討する必要があります。

今回お話をうかがった株式会社アズライトは、法人の事業承継、相続対策を行います。

神戸に拠点を置き、今年で14年目を迎える事業承継・相続対策のプロ。

現在も月に2,3回、税理士を招いた勉強会やセミナーに参加して最新の情報を取り入れており、オーナーの良き相談相手として長くお付き合いするのが特徴です。

  • 「事業が拡大していて資産額が大きく、顧問税理士の他にも専門家のセカンドオピニオンが欲しい。」
  • 「いろんなところから節税対策の商品を勧められるが、信頼できる相談先がない。」

このような会社オーナーの方は、一度相談してみてはいかがでしょうか。


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