無縁墓を防ぐ、自分らしい最期を叶える5つの供養方法

「先祖を大切に思ってはいるけれど、お金をかけてまでお墓を持つ必要を感じない。」

「金銭的に今の経済状況では正直苦しくなるなあ」

「家制度や義理を重んじた葬式はもうこりごり…自分らしい終わり方を探したい。」

時代の流れとともに、従来のお墓とは違う供養の方法を模索する人が増えてきました。

平成26年に3,000名を対象に実施された栃木県の市民調査では、従来型のお墓を希望する人はわずか14.5%でした。



平成25年青森県の市民調査では、共同墓や納骨堂の「必要性を感じる」は72.8%、「利用しても良い」は79.6%という高い数字となり、共同墓や樹木葬、納骨堂といった新しいお墓の需要が高まっていることがわかります。




また、「完全にお墓を持たない」供養の方法も登場しています。

海に遺骨を返す「散骨」や、遺骨を自宅で供養したりアクセサリーに加工する「手元供養」、遺骨を引き取らない「0葬」などがそうです。


この記事では、後継者を必要としない安価な埋葬方法や、しきたりにとらわれず、自分らしい最期を叶えるさまざまな供養・埋葬方法を紹介しています。

それぞれのメリットとデメリット、お墓がなくて困ることや、親戚トラブルを防ぐための方法についてもくわしく説明しています。

  • 従来のお墓はもういらない
  • 子どもに苦労させたくない
  • お墓は大げさにしたくない
このように考えている人はぜひ読んでみてくださいね。


日本人の半数が無縁墓(無縁仏)に?!

青森県の4,837名を対象にした市民調査では「自分のお墓がいつかは無縁墓になる」と感じている人は50.5%と半数を超えました。




これは地方だけの問題ではなく、全国調べの民間調査でも同じ質問をしたところ、「いつかは無縁墓になる」という回答は54.4%でした。

つまり、日本人の50%以上が将来無縁墓になる不安を抱えているということです。


高寿命少子化という時代の中で、お墓を取り巻く悩みにはこのようなものがあります。

お墓を継ぐ人がいない

子どもが遠くに住んでいる・結婚するかわからない・娘だけといったケースや、子どもがいない、またはおひとりさまなど、個人の選択肢が増えいろんな生き方ができる現代。

昔のように親族がまとまって住むことも少なくなり、子どもがたくさんいて誰かが家を継いでくれるという時代ではなくなりました。

仏教離れ

檀家づとめが負担、仏教やしきたりに縛られたくない、お墓にお金をかける意味を感じないと言った仏教離れが進んでいます。

また、お墓や葬儀のことで親族とトラブルになり、子どもに同じ思いをさせたくないという人もいます。

費用が高い

葬儀やお墓にまつわる費用は100万円単位で、結婚と同じくらいお金がかかるライフイベントです。

長寿命になり、子どももシニア世代になっていて葬儀やお墓の費用を出せないケースなど、低所得化が進む現代と、従来の葬儀やお墓のあり方がマッチしなくなってきています。


悩みを解決する方法は?


永代供養のお墓は、こういった現代の悩みを解決する方法の1つです。

先の市民調査では、無縁墓の対策として「期限付きのお墓で、継ぐ人がいなければ期限後に合祀する(永代供養墓)」を選んだ人が31.3%と最も高くなりました。



管理やお寺との付き合いも不要、宗教も自由、合祀する分費用も安いといった、自由度の高いところが増えています。

また、形式よりも気持ちを大切にできるお墓以外の供養方法も増え、個人が自由に選べる時代になりました。

大切なのは故人を思う気持ち
無縁墓になる前に墓じまい(お墓の撤去)を考えるとき、代々続いたお墓を終わらせることに抵抗感がある人も多いのではないでしょうか。

ですが、「先祖代々のお墓」のはじまりは明治時代と比較的新しいものなのです。

日本では長きにわたり土葬が中心でしたが、都市が栄え埋葬地が不足するという問題が起こったため、国は家制度を作り先祖代々が1つのお墓に入るように定めました。

ところが戦後になると、ライフスタイルの変化に伴って都市の人口集中と核家族化が進み、現在のお墓問題に至っています。

時代の変化とともにお墓は変わっても、大切なのは故人を思う気持ちです。

残された家族が無理のない、身の丈にあった供養をしていくべきという風潮もだんだん広がってきています。


墓石を建てない新しい供養のかたち5つ

お墓はいらないという人の多くは「最後は土に埋めるか海に撒いてほしい」と希望しています。

このような自然に還る埋葬方法を「自然葬」と言い、「散骨」と「樹木葬」という2つの方法があります。

また、残された家族の選択肢としては、遺骨を加工しアクセサリーやオブジェを作る「手元供養」という方法があります。

そして近年増えているのが、初期費用だけで管理が不要の「永代供養」です。

いずれの方法も従来のお墓の問題点をクリアし、後継者不要・管理不要・低コストが特徴です。

散骨
遺骨をパウダー状にして沖合の海に撒く自然葬で、古くはアインシュタインやガンジーも行った歴史ある方法です。

違法では?と思うかもしれませんが、1991年に厚生省と法務省から「節度をもって行う限りは問題ない」と発表されています。

本人の希望で行うほか、お墓の墓じまい(廃墓)の締めくくりとして行われることがあります。

費用は個人で船をチャーターする場合は15〜25万円、合同供養の場合は10〜15万円、代行・委託供養の場合は3〜5万円程度です。

粉骨作業は別料金の場合があり、その際はプラス数千円〜3万円程度かかります。

特徴と注意点

大きな海に還り自然と一体になれること、お墓はいらないという故人の意思を尊重できることがメリットです。

他の利用者に配慮して喪服ではなく普段着で船に乗り、船上から遺骨と花を海に浮かべて見送ります。

注意点は、悪天候で延期になった場合の予定繰りや、船酔いする場合があることです。

また、カジュアルな雰囲気や遺骨が残らないことがメリットである反面、後から家族が後悔するケースもあります。

家族のためには、遺骨の一部を残して手元供養するのがおすすめです。


樹木葬
お墓ではなく花や木に囲まれて眠り、最後は土に還るという自然志向の埋葬方法です。

遺骨を埋葬する区画に桜やもみじといったシンボルツリーが植えられ、明るいイメージもあって人気です。

骨壺から袋などに移して土葬するのが一般的ですが、一定期間骨壺のまま安置するところもあります。

公園のように開放的な樹木葬墓地が多く、最近ではペットと入れるタイプも登場しています。

費用は20〜70万円ほどで、夫婦や家族単位で区画を購入することもできます。

特徴と注意点

樹木葬は永代供養を行う共同墓地の一種です。

従来のお墓が「一戸建て」だとすると樹木葬は「マンション」状の集合墓になっていて、ほかの人の遺骨と混ざることはありません。

宗教不問で誰でも入れ、生前購入した人同士の交流も生まれやすいというメリットがあります。

注意点は、埋葬後の遺骨の取り出しができないことです。


永代供養(共同墓)
永代供養とは遺族に代わり、お寺が遺骨の管理と供養を行うことです。

後継者がいなくてもお寺に任せられるという安心感から、墓じまいをして永代供養墓に移す人が増えています。

三十三回忌までなど一定期間遺骨を安置した後、ほかの人と一緒に共同墓や供養塔に合祀(ごうし)されます。

永代供養墓の主流は「納骨堂」という屋内施設で、ロッカーのように納骨スペースが並ぶものや、立体駐車場のように参拝所に遺骨が運ばれてくるものなどがあります。

費用は最初から合祀(ごうし)する場合は5〜10万円と最も安く、骨壺を安置する場合は30〜100万円ほどで安置期間の長さや設備、お寺の格式によって差があります。

特徴と注意点

永代供養墓のメリットは後継者不要・管理不要・低コストであることです。

納骨堂はアクセスが良く屋内にあるためお参りがしやすく、屋外の永代供養墓地は公園型の明るいところが増えています。

月ごとや年数回など合同供養が行われ、ともにお墓に入る仲間ができるので寂しくありません。

注意点は、お寺や墓地ごとに料金や条件に差があることです。

管理費を別途定めるところや、檀徒になり新しく戒名料が必要なところ、最初から合祀が前提のところなどさまざまです。


手元供養
手元供養はパウダー状にした遺骨をアクセサリーに加工したり、オブジェに成型して自宅に飾る方法です。

遠くのお墓まで行けない人や、故人をいつも身近に感じたい、散骨後に形に残したいという理由で選ばれます。

手元供養には大きく分けて、アクセサリー型、オブジェ型、骨壺型の3種類があります。

  • アクセサリー型:遺骨を収納したペンダントや、遺骨をダイアモンドに加工する
  • オブジェ型:遺骨をプレートやオブジェに加工し、小型の仏壇や飾り台に置く
  • 骨壺型:手のひらサイズのミニ骨壺に遺骨を納める

普段使いできるアクセサリーや、グッドデザイン賞を受賞した骨壺など日常生活になじむおしゃれなデザインのものが多く出ています。

費用も1万円を切る手ごろなものから、数十万円を超える高級仕様までさまざまあります。

特徴と注意点

手元供養のメリットは、ほとんど費用をかけずに済むことと、いつも身近に感じられ気持ちの整理を付けやすいことにあります。

持ち運べるアクセサリーやミニ骨壺なら一緒に思い出の地にでかけることもできます。

また、デザインや種類も豊富なので、予算に応じて好みにあったものを選ぶことができます。

注意点は、紛失や破損の恐れがあること、お参り場所が自宅になるので対応が必要であることなどです。


0葬(ゼロそう)
やむを得ない事情で遺骨を引き取れない、遺骨を処分したい人の受け皿が「0(ゼロ)葬」です。

「遺骨の引き取りや葬儀を行わず、お墓もつくらない」方法で、宅配便で遺骨を送る「送骨」や、遺骨の訪問引き取りを行う「迎骨」といったサービスがあります。

遺骨を私有地に埋めたり、ゴミとして捨てたりするのは違法なので、このような形で供養してもらう必要があります。

また斎場で遺骨を引き取らずに処分したり、大学へ献体するといった方法もありますが、実施には条件があり誰もができるわけではありません。

いずれの方法も、引き取った遺骨は共同墓や供養塔に合祀し永代供養します。

費用は迎骨が3〜10万円、送骨が3〜6万円と非常に安く、献体や斎場で処分した場合は無償です。

特徴と注意点

0葬のメリットは他の供養に比べて最も費用が安く、お寺や親族と関わることなくすべての手続きを完了できることです。

遺骨を捨てたり私有地に埋めることはできないので、遺骨を処分したい時にはこういったサービスを利用するのが現実的です。

注意点は、斎場で遺骨を残すことを禁止する自治体もあることや、遺族がいる場合はもめやすいということです。


ユニークな「宇宙葬」も登場

遺灰をカプセルに入れ、ロケットで宇宙に打ち出す「宇宙葬」という散骨方法があります。

ロケットの打ち上げはアメリカで行われ、3年ほど地球の軌道を回った後流れ星になり消滅します。

海外では数年前から行われており、日本でも「宇宙旅行に行ってみたい」、「空からみんなを見守りたい」と生前予約する人が少しずつ増えています。

実際にアメリカで宇宙葬を行ったご家族は打ち上げを皆で見送り、残った遺灰はダイヤモンドに加工して手元供養したとのこと。

ロマン溢れる最期は参列者にも好評で、思い出に残るセレモニーになったそうです。

費用は20〜100万円と意外にも安く、希望すれば誰でも宇宙に行くことができる時代になりました。

このように、故人の夢を叶える送り方もお墓の変化とともに少しずつ広がっています。


ワンポイントアドバイス



さまざまな供養を望む人が増えてきたことによって、サービスを提供する会社や団体がたくさん出てきました。

形式にとらわれず「思い」を形にするには、遺族に寄り添う姿勢や、質問にしっかり答えてくれるかなど、運営会社やお寺の対応を通してよく見ることが大切です。

また、実施するのは遺族なので、親族や世間からの批判を浴びることがないような根回しも必要です。

生前からしっかり「自分の意思」を周囲に伝えておくことで、親類とのトラブルを回避できます。



<ケース別のおすすめ供養方法>
  • 自然の中で眠りにつきたい → 散骨、樹木葬
  • 他人と一緒の埋葬でも良い → 樹木葬、永代供養
  • 10万円以下で供養したい → 散骨、手元供養、0葬
  • 墓じまいしたい → 散骨、永代供養


お墓は家族の結びつき

お墓を持つメリットは「遺族の心のよりどころ」があることと、「死後の住まい」があるという安心感です。

お墓に手を合わせるとき、故人を思い出し家族の結びつきを確認できます。

逆に残される人がいなければお墓を持つ必要はないのですが、入るお墓があるということは、死後の行き場があるという安心感につながります。

お墓がないと家族は寂しい?
面倒をかけたくないからお墓を作らなかったのに、家族は手を合わせる場所を失って悲しい思いをした。ということがあります。

これは、親が思う苦労と、子どもにとって手間だと感じることにズレがあったということです。

お墓を持たないという選択をするとき、家族が寂しい思いをすることがないよう、よく話し合って決めることが大切です。

大事なのは、残された人の気持ちが落ち着く供養の方法を選ぶことです。

必ずしも従来のお墓である必要はなく、家族が「ここに故人が眠っている」と思えるならばどのような形であっても良いのです。


希望を叶えるには生前の準備が大切

現代はお墓の過渡期にあり、まだまだ世間では「家のお墓に入ること」が一般的です。

自分らしい最期を選ぶとき最も大切なのは、実行する遺族への配慮です。

世間体が悪いと親族から批判されたとき、矢面に立つのは残された家族。

親族が多いほど、これまでのやり方を変えることでもめやすいものです。

その場では渋々承知した親戚から、後から文句を言われて関係が悪くなるケースもあります。

こういった親類とのトラブルを防ぐためには、生前から自分の考えを周囲に伝えておきましょう。

「これは自分の希望であって、家族はわがままを聞いてくれるのだ」と本人が親戚に公言しておけば、家族も肩身の狭い思いをすることが少なくなります。

親族にはっきりと伝えておくことに加え、エンディングノートも活用しましょう。

「葬儀やお墓がなぜいらないと思うのか、どのように弔ってほしいかといったことや、死後のことは喪主に従ってほしい」などの希望をまとめて書いておきます。

このようにできるだけ本人が生前に準備を進めておくことで、親族の理解も得られトラブルを防ぐことができます。

話し合いで同意が得られなければ、最終的には実際にお世話をしていく家族の意見を尊重して決めることが大切です。


さっそく準備をはじめよう

お墓はもういらない、別のかたちで供養したいと思ったとき、まず必要なのは資料を取り寄せたり、現地を見に行くことをおすすめします。

誰もが経験の少ない葬儀やお墓のこと。ましてや新しい供養方法であればなおのこと、百聞は一見に如かずです。

散骨の見学ツアー、樹木葬墓地や永代供養の納骨堂など説明会に参加してみましょう。

家族と一緒に参加できれば理解も得られやすくなります。

ホームページではわからなかった実際の雰囲気や、どんな人が利用しているのか、不安な点を相談することでより具体的に準備を進められます。

実際に現地に行くのが難しいというときや、まずはどんなところがあるのか知りたい。というときには下記のサイトから全国の情報を得ることができます。